業務日誌|床下の鉄骨塗装

今回ご紹介するのは、鉄骨造の床下塗装です。
こちらのお庭は床下が鉄骨で造られ、床面はコンクリート製。横須賀市は平地が少なく、傾斜地に建てられた住宅ではこのような構造がよく見られます。
鉄骨は「錆びる」ので「弱い」と思われがちですが、適切に防錆処理を行えば半永久的に持たせることも可能な優秀な建材です。
錆び具合をチェック:「状態確認」
塗装されているうちは問題ありませんが、錆が出ると一気に傷んで見えます。まずは過剰に心配せず、近くでしっかり観察し状態を確認します。
● 鉄骨・柱の外周部

床面を流れた雨が直接当たる部分です。水に濡れやすいから「錆びる」と思われがちですが、
実際は「水が溜まる場所」で腐食が進行します。写真の錆びている箇所は、雨水が滞留しやすい部分に集中しています。
● デッキプレート

床下でコンクリートを支える波状の鉄板です。コンクリートと密着している部分は錆びません(ビルの鉄筋が錆びにくいのと同じ理屈です)。
ただし、コンクリートにひび割れが生じると、その隙間から水が届いて写真のように内部から錆びが発生します。
● 内部の鉄骨

デッキプレートを支える骨組み部分です。雨や日光に触れないため、写真のように劣化は非常に少ないのが特徴です。
状態が良ければ、塗料のランクを少し落とすことで僅かですがリフォーム費用を抑えることもできます。
●コンクリートの床

コンクリートの床は、雨風にさらされているので表面は多少風化しているものの健康でした。ですが床下にはサビが出ているので、これ以上サビが進行しないように床防水を施します。
実際の塗装工程

鉄骨塗装で最も大切なのは「下地調整」です。サンドペーパーやスコッチブライトで表面を研磨し、塗料がしっかり密着するようにします。
これを怠ると、数年で塗膜が剥がれ落ちてしまいます。(施工写真は今回の現場とは関係ないものです)
● 鉄骨・柱の外周部 雨風や塩害の影響を受けやすいため、エポキシ系錆止め(防錆効果の高い下塗り)シリコン塗料仕上げ(2回塗り)の合計3回塗りで仕上げます。
●デッキプレート・内部鉄骨 劣化が少ないため、コストを抑えた仕様に。錆びている部分のみエポキシ防錆を補修塗りした後、全体に錆止め入りウレタン塗料を2回塗りします。


●コンクリートの床

金属ブラシ等で床をキレイにしたら、大きなヒビをエポキシパテで塞ぎます。密着処理を施したあとに水性のウレタン防水塗料で仕上げます。
下地処理を1回。防水塗料を3回。防水塗料を紫外線から守るトップコートを2回。合わせて6回塗りです。
まとめ
「錆びているから交換したい」とお考えになるお客様も多いですが、実際には塗装で対応できるケースが大半です。
もちろん「どぶ漬けメッキの鉄骨材に交換」といった方法もありますが、まずは塗装でメンテナンスすることをおすすめしています。
鉄骨造の床下は、正しい下地調整と塗装で長持ちします。交換前に、ぜひ「塗装で守る」選択肢をご検討ください。
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