遮熱塗料の効果と賢い使い方。

最近では、住宅にも遮熱塗料を採用するケースが増えてきました。
もともとは外装材を高温から守るための塗料ですが、この厳しい暑さの中では、室内に入り込む熱を少しでも抑えたいと考える方にとっても、遮熱塗料は魅力的に映るでしょう。
ただし、こうした機能性塗料は価格がやや高めなのも事実。そこで今回は、家の部位ごとに遮熱塗料をどう使えばよいかについて、創業54年の弊社山本塗装がご紹介します。
遮熱塗料の使いどころを見極めることで、費用を抑えつつ、暑さに強い快適な住まいを実現することが可能です。
遮熱塗料とは

ここでは、より一般的な遮熱シリコン塗料についてご説明します。
遮熱シリコン塗料は、高い反射率を持つ顔料と、優れた熱反射性を持つセラミックを、シリコン樹脂に融合させた塗料です。
たとえば屋根に使用した場合、真夏のピーク時には60〜80℃にも達する表面温度を、約20℃下げる効果があります。
なお、冬に室内の熱を逃がすような作用はないため、「遮熱塗料を使うと冬は寒くなるのでは?」というご心配は無用です。
家を出入りする熱について

真夏の熱の侵入は、屋根から約11%、外壁から約7%、そして窓などの開口部から約73%と言われています※。
例えば、2階建て住宅で外壁の面積が約140㎡、屋根が約75㎡だとすると、屋根の面積は外壁の半分ほどです。
このことから、面積が小さいにもかかわらず遮熱効果が期待できるのは「屋根」であると考えられます。
※出典:一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会
屋根への使いかた

「部屋の温度はどのくらい下がるの?」
遮熱塗装と聞いて、多くの方が最初に気になるのがこのポイントではないでしょうか。結論から言えば、室温はおおよそ2〜3℃下がると考えられます。
遮熱塗料(高日射反射率塗料)の主な目的は、屋根の劣化を抑えることです。ただ、それに加えて、夏場の室内への熱の侵入を軽減する“おまけ”効果も期待できます。
もう少し詳しく説明しましょう。夏の最も暑い時間帯には、屋根の表面温度が60〜80℃にもなります。遮熱塗料を使えば、これを約20℃下げることができます。
そしてこの下がった温度が、屋根材 → 断熱材 → 屋根裏 → 天井材といった複数の層を通っていくうちに、熱の影響は徐々に小さくなっていきます。
結果として、室内温度への影響は2〜3℃の低下にとどまると考えられます。
外壁への使いかた

結論から言えば、外壁に遮熱塗料は基本的に必要ありません。
遮熱塗料の効果について、外壁の場合は明確な熱反射率のデータはありませんが、屋根と同様に真夏のピーク時には表面温度を最大で約20℃下げられると考えられています。
しかし、外壁が白や淡い色であれば、遮熱塗料を使わなくてもそれに近い熱反射効果が得られるため、通常は遮熱塗料を使用する必要はありません。
ただし、蓄熱によって反りが出やすいサイディング外壁に、あえて黒に近い濃い色で仕上げたい場合には、遮熱塗料が効果的に働きます。
まとめ

基本的に、遮熱塗料は屋根にのみ採用するのが最も効果的と考えられます。近年の住宅では、屋根裏を単なる空間としてではなく、ロフトや収納スペース、作業部屋などに有効活用するケースが増えていますが、
このような使い方をしている場合は、室内の温度変化をより敏感に感じやすくなるかもしれません。
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