「掻き落とし」の塀

今回塗装することになったのは「掻き落とし」の塀。実は10年前にも、弊社山本塗装で塗らせていただきました。
前回の塗装時も既存の塗料が内部から膨らんでいたので、浮いた塗膜を剥がしてから苦心して塗り上げたのを覚えています。
今回の塗装は前回とは違うアプローチで塀のふくれ・浮きを抑える塗装を施しましたので、ブログで備忘録を書くことにしました。
掻き落としとは。

「掻き落とし」は左官仕上げの一種なので本来は左官工事で修繕するのですが、以前は手軽に直そうと塗装される事例が多かった様です。
今でいうところの「ジョリパッド外壁」に性質が似ており、内部に「水分」を溜め込みやすい材料だったので、塗った後に「ふくれ」等の問題が散見されました。
表面を固める
前回の塗装の目的は「表面を固める」ことを主眼におきました。それで10年間ほぼ膨れは起きなかったので、前回のアプローチでも成功と云えます。
使用したのは、モルタルに模様を付ける吹き付け用の防水形複層塗料。塀の骨材に負担を掛けないように水性のエポキシシーラーで吸い込みを止めました。
防水形複層塗料は防水性に優れていて伸縮も少ないので、表面を固める目的にはピッタリです。表面は透湿性を持つシリコン塗料で仕上げました。
表面から水分を逃がす

前回工事では大きく膨れはしなかったものの、水蒸気は塗膜を泡立たせました。今回の塗装は、その泡立ちを逃がすアプローチです。
水分が侵入するのはほぼ雨水。上からの水の侵入を抑えるために、天端だけに複層塗料を使います。
側面は反応硬化形のエマルション塗料を採用することで、防水性よりも水分の掃き出し性能を優先して強化しました。
今回の塗装では、塀のヒビ割れは積極的に補修しませんでした。ひび割れてるという事は「水が出やすい箇所」という事なので、下手に塞がないほうが良いのです。

まとめ
今回のモルタル塀では上からの雨水を気にすれば良いのですが、ブロック塀の場合は下からも水を吸い上げるので注意が必要です。
「ブロック塀用」として透湿性に特化した塗料がありますので、こちらを使うと良いかと思います。こちらは骨材が混合してあるので、細かなひび割れ程度なら埋めてしまう機能を持っています。
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