唯一無二。銅板屋根。

 
塗装とは直接関係ないのですが常々良い材料だなぁと思っている、銅葺き屋根の特徴を塗装店の視点で考察してみます。銅板の屋根は最近ではほぼ神社と仏閣でしか見つけることはできませんが、非常に優れた屋根の材料です。

一つ目の優れた点は、塗装されていないところです。同じような軽い屋根にガルバリウム鋼板がありますが、塗装された製品なので15年程度で塗料の風化が始まったり部分的なサビが発生し始めます。結局塗り替えは必要になってくるのです。現に山本塗装でも塗り替えたことは幾度となくありますし、実際に屋根を新設されるときに一緒に施工される「雪止め」と呼ばれる部品はなぜか普通の鉄製であることが多く、ここがいち早く痛み始めます。

二つ目の優れた点は、その重量です。現在もっとも使われているカラーベストと比べても非常に軽いので、地震などの災害時に落下しづらいと思われます。

三つ目は、腐食しないところです。独特の緑色は銅板を腐食から守ってくれる被膜で、緑青(りょくしょう)といいます。雨が当たることにより形成されるので雨の当たりづらい縦の面とのコントラストが生まれ、独特の美しさが生まれます。酸性雨に弱い。との噂がありますが、緑青の被膜は酸性雨のイオンを中和するのでほとんど影響はないそうです。瓦屋根の突端部のみに銅葺きされている場合には水は瓦の凹部に集中して流れるので、長い期間のうちに銅板に穴を空ける。というケースはあるようですね。

さいごに写真右下の瓦棒屋根はお客さまのご自宅ですが、築40年経っているのに腐食の欠片も無かったのにとても驚きました。最大のデメリットである価格(カラーベストの約3倍)を考えなければ、これ以上のものは無いのではないでしょうか。